お子様が立派にご成長なさるまで長くお飾りいただくために・・・

長い年月の内にはいろいろなことがあると思います。万一作品が傷んでしまうこともあるかもしれません。そんな時でもご安心ください。一水工房は大切なお子様の鎧兜を末永く美しくお飾りいただくためにお手伝いすることができます。

今回は過去に当工房で取り扱った鎧兜の修繕の事例をご紹介いたします。

 銅製の飾り金具に白銀鍍金(めっき)を施した兜ですが、全体的に銀の硫化がすすんで変色してしまっています。

本来の美しい白銀色に直すために全分解して金具の「洗い」をします。

 

 この兜の分解に適した道具を用意します。

まず最初に組房を解きます。次に錣(しころ)を兜鉢から取り外します。

各部材を傷つけないよう細心の注意を払って分解していきます。素材の特性に合わせて道具を使い分けて慎重に作業します。

 ふくりんや止め鋲は新しく制作しました。

取り外した飾り金具は丁寧に研磨してからめっきの再処理をします。

古くから付き合いのある工芸品鍍金の専門職人さんに依頼します。

美しく仕上げていただきました。感謝です。

分解したものを再度組み立てるのは実はとても難しいです。すべて手作業でつくる材料を使っていますのできちんと同じ位置に戻さないと美しく見えません。その時々で止め穴などの位置も微妙に違いますので、同じような部材でも場合によってはそこにしかうまくつかないものも多くあります。そのようなときに備えて分解時に場所を記す工夫などをしています。

いよいよ組立です。

すべての部材が元どおりにおさまり兜は本来の美しさを取り戻しました。

平安住一水の鎧兜は匠の眼で厳選された原材料を用いて細部にわたるまで丁寧に手作りされた本格的な錺(かざり)甲冑です。

そのため全ての部位は実物同様に取り外しすることができます。したがって長い年月を経た作品についても修繕が可能です。

※いちばん最初の画像に写っている2領の鎧は当工房の所蔵する作品です。向かって左側は20年前に、右側は38年前に当工房にて制作された鎧飾りです。

一水の鎧兜は長い年月をかけて皆さまの多くの想い出とともに節句飾の役目を全うした後、吟味された素材と熟練の技で組み上げた本格的な美術甲冑として落ち着いた風格を身につけ後々までお子達の宝となることを確信しています。

 

2022年 5月28日